院長ブログ

瞳孔が開いていると

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障5人、霰粒腫2人(2歳男の子、27歳男性)、硝子体切除1人、硝子体手術2人(黄斑上膜、網膜剥離)でした。

硝子体切除という手術の申し込みになった80代の男性の方は、12月に他院で白内障の手術を受けたものの、『右眼がどの距離も見えにくい』という症状で本日、来院されました。白内障の手術で入れた眼内レンズ自体はきれいに入っていましたが、視力は裸眼0.08で、矯正しても0.5までしか改善が得られませんでした。ただ、“ピンホール”という小さな穴から見るような条件での視力検査は矯正で0.9まで改善し、見えにくいと感じる理由の一つは、瞳孔が開いてしまっていることと思われました。なぜこのように瞳孔が拡がってしまっているかというと、本来は眼内レンズの裏側にある硝子体がレンズの脇から眼の前のスペースに出てしまい、耳側の傷に嵌頓してしまっていることが原因と思われました。その脱出した硝子体を切除することで、瞳孔の閉じ方が完全に回復するかは不明な部分はありますが、硝子体が出てきてしまっていることもよくないですし、それを取ることで瞳孔が閉じ、視力が出てくれるようになれば、一番手間のかからない対処法として、前房内の硝子体を切除して瞳孔が小さくなってくれることを期待して手術を行う方向とさせていただきました。もちろん、この処置で十分な改善が得られないこともあり得ますが、その時は、虹彩を縫って瞳孔を縮める方法を行うか考えたいと思います。虹彩縫合は眼にとって、ちょっと負担になってしまうこともあり、虹彩縫合をしないに越したことはないかと思い、効果が期待できる選択肢の中でまずはより侵襲の少ない処置から行っていきたいと考えました。

患者さまとしては、複数回よりは1回の治療で済めばというお気持ちはあるかと思いますし、少ないに越したことはありませんが、結果的に複数回の治療になってしまったとしても、順を追って必要な治療を行っていく方が結果的には眼にとって負担は少ないと思いますので、ご理解いただけるとありがたいと思います。

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