院長ブログ

糖尿病のある眼の白内障

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障4人と霰粒腫1人(0歳6か月男の子)でした。
今日の手術は、白内障14件(アイステント併用1件)と黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日の外来で、白内障手術のご希望で受診された60代後半の男性の患者さまは、白内障の濁りによって、視力が右0.7 左0.5と低下していました。ただ、眼底を見ると、網膜の出血と黄色いシミ(硬性白斑)が見られ、糖尿病の網膜症と思われました。問診票の既往歴の欄は特になしだったのですが、『糖尿病と言われたことはありますか?』と聞いたところ、『ないです』ということでしたが、『採血で血糖の値は最近調べていますか?』と聞くと、しばらく調べていないようなので、いつのまにか糖尿病が出てきているのではと思われました。以前は血糖値(HbA1c)の値が高いと、白内障の手術は控えるべきとされていましたが、低侵襲化の進んだ現在の白内障手術では、血糖値にそれほどこだわる必要はないかと考えています。むしろ、進行した白内障では、網膜症の評価が難しかったり、レーザー治療がしにくかったり、見えにくくてインスリンの注射ができにくいということもあり、積極的に白内障の手術を行った方がよいかと思っています。ただ、網膜症が強く出ている場合は、手術侵襲による炎症で急激な悪化を招くこともあり、まず糖尿病の内科治療や網膜症の治療を優先し、慎重に手術は進めなければなりません。また、早く手術をしたいと血糖値を短期間に急激に下げ過ぎると、網膜症が悪くなってしまうこともあり、HbA1cを月に1程度のスピードでゆっくり下げることも重要とされています。

今日の患者さまの場合、網膜の中心部の黄斑部に浮腫などの滲出性変化はみられず、白内障の手術を行なってもよいかと思われましたが、術前検査の血糖値の結果によっては、内科の治療を早めに行なってもらおうと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

TOPへ