院長ブログ

眼瞼下垂術後の三角眼

今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障1人で、今日の手術は、眼瞼下垂3人、霰粒腫4人(2歳女の子2人、7歳女の子、32歳女性)でした。

眼瞼下垂の術後は約1週間で抜糸をしていますが、先週、眼瞼下垂の手術を受けた60代前半の女性の患者さまから、『右眼が三角になっている』という訴えがありました。眼瞼下垂の手術は色々な術式がありますが、僕はまぶたを持ち上げる眼瞼挙筋(正確には筋肉そのものでなく腱膜)をまぶたの中の骨組みのような組織である“瞼板”に縫い縮める方法で、基本的に1針縫っています。通常、この1針でまぶたの形状は自然なカーブを作ることが多いのですが、腱膜を短縮し過ぎたり、縫い付ける位置が悪かったり、瞼板が柔らかいと、1点で強く吊り上がってしまい“三角眼”になってしまうことがあります(よく言われる『和田アキコさんのようになりませんか?』というのはこの状態だったのではと思います)。腱膜の短縮具合や縫い付けの位置を修正すると、吊り上がりが弱くなってくれますが、それでも形がよくない場合は、もう1針2針追加して形を整えて手術を終えるようにしています。しかし、手術終了時点でよくても、術後に思ったようなまぶたの形でなかったり、徐々に変化してきてしまうこともあり、あまりにもおかしいような時は再手術で修正を行うこともあります。僕は眼瞼下垂の手術は基本的に保険診療で行っており、保険手術の目的は機能の改善で、見た目は問題としないとも考えられますが、とはいっても挙がり方があまりにもおかしい場合は、手術の合併症とも捉えられ、再手術の適応になると考えています。その場合、すぐには保険での再手術はできませんし、術後、まぶたの状態が落ち着いてから再手術をすべきなので、術後3か月程度は経過を見てから再手術を行うべきと考えています。ただ、あくまで再手術の適応になるのは、“あまりにひどい場合”で、僅かな問題をまた保険の手術で治して欲しいと言うのは保険診療の本分から外れますので、どうしてもの場合は自費手術での修正になるかと思います。その基準も主観が入り難しい部分もありますが、一般的には“保険診療の眼瞼下垂手術では見た目の問題は受け入れない”という考えが基本にはなります。その保険の手術でも“明らかにひどい”という状況というのは、手術の合併症とも考えられますので、そのような時は保険での再手術の適応となるとお考えいただければと思います。

ちなみに、今日の患者さまも許容範囲内と思われましたので、何らかの再手術を希望の場合は保険は適応になりませんとお伝えさせていただきました。また、少なくとも急いで修正しないといけないことは全くないと思いましたので、しばらく経過を見て判断したいとお話しさせていただきました。保険が適応になるかどうかはありますが、このままずっと過ごしてくださいと言うつもりはなく、再手術の必要があれば、できる限りのことはしたいと思っていますので、ご理解いただけますようよろしくお願いいたします。

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