院長ブログ

ボトックスの注射

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障7人、眼瞼下垂1人、硝子体手術1人、霰粒腫1人(2歳女の子)でした。

今日の外来では2名の方にボトックスの注射を行ないました。ボトックスというと美容?と思われるかもしれませんが、病気でボトックス注射が治療として必要な方もいらっしゃいます。

一人目の50代の女性の方は、眼瞼けいれんという病気で、まぶたを閉じる働きのある眼輪筋が何らかの原因で異常に働いてしまい、『眼が開けられない』『眼が痛い』『眩しい』といった症状が現れ、不自然で回数の多い瞬きをしたり、眉間に異常に力が加わるような独特な表情をする方が多く、進行するとかなり辛くなってしまう病気です。軽度であれば、内服で治る場合もありますが、それでうまく治らない場合はボトックスの注射で眼輪筋の働きを抑えることで、症状の改善を期待することができます。

もう一人の方は70代の男性で、片側顔面けいれんという病気で、顔に分布する神経(顔面神経)が何かしらの原因で刺激を受けてしまうと、神経に異常なインパルスが生じ、まぶたや頬、口の周りが勝手にピクピク動いてしまいます。これも症状の現れる筋肉にボトックスを注射することで症状を抑えることが可能です。

ボトックスというと、『ボツリヌス菌を注射するの?』と心配されることもありますが、そのものを注射する訳ではなく、ボツリヌス菌から作られるタンパクが薬の主成分となり、薬自体は安全性の高いものなので、あまり心配する必要はないかと思います。とは言っても、副作用もあり、一番、起こりやすく困ってしまうのは、眼瞼下垂かと思います。眼瞼けいれんや片側顔面けいれんに対するボトックス注射でターゲットとなる眼輪筋は皮膚のすぐ下にありますが、その下にはまぶたを持ち上げる働きのある眼瞼挙筋が存在します。なので、ボトックスの薬が少し深くまで入ってしまうと、眼瞼挙筋にまで効いてしまって、まぶたが開きにくくなってしまいます。ただ、ボトックスの効く期間は3ヶ月程度なので、もし、眼瞼下垂が起こっても2か月くらいするとまた開くようになってくることが多いので、もし、眼瞼下垂が起こってしまった場合は、申し訳ないですが、少しお待ちいただければと思います。また、軽いものでは、注射による皮下出血、重いものではアレルギー症状などがありますが、基本的には安全な治療ですので、もし眼瞼けいれんや片側顔面けいれんで症状がお辛い方は治療をご検討いただければと思います。

ちなみに、僕は以前、ボトックスの勉強会に参加した時に、講師の先生から『顎が張っているから、ボトックス打った方がいいよ』と言われ、その場で注射してもらったことがあります。顎関節の筋肉が強く噛み締めがひどかったのですが、確かに楽になった気がします。

 

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