院長ブログ

硝子体出血の白内障手術

今日は午前が外来で午後は手術で、手術の申し込みは、白内障3人、今日の手術は、白内障14件、硝子体出血の硝子体手術1件、ICL摘出1件でした。

白内障などの眼の中の手術は顕微鏡を使って行いますが、顕微鏡は対象物を大きく見るためだけではなく、明るく立体的に見る必要もあり、照明がとても重要です。照明も単に上からパッと照らすだけでなく、いくつかの光を組み合わせて、より見やすくする工夫がなされています。白内障手術では、水晶体嚢など透明な組織を見ることも必要になり、この時に役に立つ照明が“徹照”という方法で、光を網膜に当て、その反射を利用して透明な見えにくい構造物を見やすくさせます。当然、白内障が強くなれば、反射光が減ってしまい、徹照が得にくく手術はしにくくなりますが、今日の手術で一番、やりにくかった方は70代の男性の白内障手術でした。白内障自体は強くはなかったものの、術前より把握していた硝子体出血が思ったより強く、徹照がほとんど得られない見えにくい状況での手術になりましたが、なんとか無事手術が終わってよかったです。

硝子体出血がある場合、硝子体手術も行うのであれば、眼内照明を使い眼の中から照らす方法や先にある程度、硝子体出血を取ってから白内障手術を行う場合もあります。硝子体出血のある眼で白内障手術だけ行う場合は、水晶体嚢を染めて色をつけて前嚢切開を行なう方法もありますが、意外と難しいことも多いので、できれば硝子体手術とセットで行う方が術者としてもより安全な手術ができますし、患者さまも術後によりスッキリした見え方ができてよいかと思います(もちろん、今回のように出血の程度によっては、まず白内障だけ手術する選択肢もあります)。

ちなみに、この患者さまは当院の看護師のお父さまで、娘さんにあたる看護師も一緒に手術の介助に入ってもらいました。眼の手術も不安だったと思いますが、実の娘が側にいて受けられて少しでも安心して手術を受けてもらえたならよかったと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

TOPへ